西村眞悟氏の時事通信2011年1月13日木曜日より
魑魅魍魎の祭り、
そして危機に瀕する拉致被害者救出
昨年十一月末から正月を経て今まで、一体、民主党は何をやっているのか。
マスコミは何を報道しているのか。
マスコミが、それを日本の「政治家」がしていることのように報道し、国民がその報道を真に受けているから、本質が見えないのだ。
あれは、人間の皮をかぶった「キツネ」や「タヌキ」、
つまり、魑魅魍魎がしていることだと思えばよい。
ただ、自分の利害だけでうごめく魑魅魍魎。
カンとオザワと彼らの不毛の国籍不明のキャンプに生息する輩。
年末、現実に「カン」を体験したことのある民社党委員長の塚本三郎さんの言を紹介した。
「菅は、人を踏み台にして生きてきた男だ。ただ自分のためだけに人を利用してきた。このような者の誘いに乗っては身を滅ぼす」
菅が、その名を100パーセント使ってのし上がった市川房枝さんは、親しい後輩に
「菅だけには気をつけて」と言った。
これが、左翼、第4列の男、市民運動家、菅の正体である。
もう一人の「オザワ」も似たようなものだ。つまり目くそと鼻くそ、これを同じ穴のなんとやらという。出身が市民運動と田中派の違いだけ。しかし、もう馬鹿バカしい。これ以上改めて言わない。
なお、第4列の男とは、学生時代の集会で、デモを煽るときには率先して先頭に立って演説して目立っているが、デモが始まると前列が機動隊と衝突しても、傷ついたり捕まったりする心配のないデモの第4列につく男のこと。これがつまり、菅。
この菅に、こともあろうに、与謝野馨さんが、釣られたようだ。
外国暮らしが長い、というより、外国で育った与謝野さんは、日本国内の左翼、「市民活動家」の本質が分からなかったのか。
丁度昨日(12日)、大阪の難波で、平沼赳夫代表が私に、
「年末、与謝野さんのことで心配をかけた。彼は、菅に釣られかかった。しかし、我々で、引き戻した」と語られたところだったのに。与謝野さんの足が、地から浮いたのだ。
とはいえ、これで、すっきりした。
本来の目標、真の保守救国内閣の樹立に向け、
志、新たなりだ。
そこで、この機能不全の内閣と与党が、まき散らす腐臭と泥と人非人ぶりを魑魅魍魎として一々言わないが、ひとつ、憂慮すべきことを指摘しておきたい。
それは、外交までが、一人の兄ちゃんの底が浅い思惑というより火遊びによって動き始めたということだ。
つまり、我が国と北朝鮮との二国間交渉を外務大臣が呼びかけ、北朝鮮が直ちに歓迎すると応答してきたこと。これは、極めて軽率である。
なるほど、北朝鮮との二国間交渉を始めれば、マスコミは連日報道し、交渉する菅内閣と外務大臣に対する国民の期待が集まる。
かつて小泉さんは、100パーセント、この国民の期待を利用した。そして、どうなったか。拉致被害者5名が明らかになり帰国した。しかし、他の8名は死亡したとされ拉致問題は終了したと蓋をされかかった。
もしあの時、8名死亡は北朝鮮の嘘であると拉致被害者家族が見抜くことができずに、小泉さんのように騙されたままなら、そして葬式をしたならば、我が国は今頃、自国民を見捨てて北朝鮮に巨額の金を援助する北朝鮮の核爆弾製造援助国になっていたのだ。
つまり、世界最大規模のテロ支援国家になっていた。
これが、平成十四年九月十七日の日朝首脳会談に仕組まれた一種の大きな危機であった。
そして、以後現在までに何が明らかになっているのか。
それは、言うまでもなく
死亡したとされた八名は生きているということ、
北朝鮮に拉致された被害者は五百名に近いということ、
そして北朝鮮は「話し合い」では嘘をつくだけだということだ。
つまり、北朝鮮と会話して拉致被害者は救出できないということ、
これが明らかになっているではないか。
したがって、いやしくも
拉致被害者の救出を目指す政治家なら、
もはや北朝鮮との話し合いの路線を試行しない。必ず、圧力を目指す。
そこで既に明らかであろう。
今、唐突に、北朝鮮との二国間交渉を言い始めて北朝鮮から「評価」されている外務大臣は、交渉で何を目指しているのか。
拉致被害者救出か。
そうではない。
では、何か。
その目的は・・・、
北朝鮮と交渉しているという人気を狙っているだけだ。
つまり空虚な功名だ。猿並みのええかっこうだ。
○○政経塾出身者らしい。
だから、危険なのだ。小泉の時以上に、大勢の拉致被害者を見捨ててしまう事態に嵌りかねない。
もともと、彼は、日朝友好促進派である。
拉致被害者救出という切実な政治課題に取り組んできた議員ではない。むしろ無関心であった。
また、防衛に詳しいように見せているが、具体的な国土防衛、尖閣防衛という意識は希薄。
かつて、北朝鮮のテロ支援国家リストからの削除を目指していたアメリカのブッシュ政権に、テロ支援国家リストからの削除に反対する主張をぶつけていた拉致被害者家族や拉致議連幹部をよそ眼に、こそこそとワシントンに行って、「日本は拉致にこだわりすぎる」とアメリカに阿っていた前外務大臣と同じ類だ。よくアメリカに行っていた。
さらに、彼が二国間交渉を唱えている現在の国際環境を見よ。
一体、この外務大臣に目があるのか。
分かりやすいので、我が国を当事国であるとして説明する。
昨年の三月、我が国の巡視船が近隣の某独裁国家の魚雷によって撃沈され五十名の海上保安官が殺された。
そして、年末、我が国の国境の島がこの某国によって、突然無差別砲撃され、民間人の住居が破壊され軍民五名が殺された。
当然、我が国の世論は、某国に激高する。
そして、我が国は某国の武力行使に対して、武力によって自国民を守る決意をし、同盟国のアメリカと某国を仮想敵とする合同軍事演習を開始した。
それと同時に、我が国とアメリカは同じ脅威にさらされている韓国を加えて、日米韓の三国による連携を強化する方針を確認した、とする。
この時、何を思ったのか、韓国の外務大臣が某国との二国間交渉を提唱し、孤立感を深めていた某国は、その提案に飛びついた。
我が国にとって、この韓国の外務大臣がしていることは、何に見えるか。
それは、裏切りである。
以上の通り、外務大臣が提唱した北朝鮮との二国間交渉は、拉致被害者救出にはつながらず、却って多くの拉致被害者を見捨てる事態に道を開き、アメリカと韓国という同じ価値観を持つ近隣諸国から「裏切り」という評価を受けることとなる。
つまり外務大臣は、オポチュニストの菅と連携して、国民の命を危険にさらしながら、我が国の国際的評価を地に落とす、何の益もない火遊びを勝手に始めたのである。
「政経塾出身」がいつまでもぶら下がっている兄ちゃん、危ういな、と思っていたが、現実になった。
これは、もはや内閣ではない。
オポチュニストが内閣に寄生しているのだ。
ちなみに、私の二十歳代の前半に、○○政経塾が創設された。その時に創設した人の企業とともに政経塾ももてはやされた。
その時、話題になった政経塾に関して、私が言ったことを今でも覚えている。そして、政界に入ってから、政経塾の実物の言動を見て、あの時言ったことは正しかったと思ったものだ。
私は、次のように言った。
「浜松のウナギじゃあるまいに、政治家を養殖できるか。ばかばかしい、
政治家とは時代の激動と苦難の中で自分で育つんだ」
ところで、政治家の養殖という意味では、○○政経塾と田中派は、似ている。ともに養殖機関である。そして、後者ではオザワという人が育っている。