産経ニュース2011.1.22 02:53より
尖閣事件不起訴
映像公開と捜査検証急げ
尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で検察当局は、
中国人船長と、衝突ビデオを流出させた神戸海上保安部の元海上保安官を
不起訴(起訴猶予)処分とした。
あまりに遅く、不自然な事件処理だ。
不起訴により刑事訴訟法の
「証拠」ではなくなった衝突ビデオは、
政府が自らの責任でその
すべてを公開すべきである。
最高検察庁は、船長の不起訴処分について、衝突された巡視船の損傷が航行に支障をきたすほど大きくはなく、人的被害もなかったことや、計画性が認められないことなどを理由にあげた。
那覇地検は昨年9月、船長を処分保留で釈放した際、「わが国国民への影響や今後の日中関係を考慮した」と、その理由を述べた。
検察が外交的背景を考慮して
政治判断を行ったことになる。
最高検は不起訴の理由に外交的配慮は含まれず、釈放時の那覇地検の判断は、あくまで身柄拘束を継続するか否かについてのものだったとした。一方で、「(船長を)釈放して事実上起訴することが困難になったことは否定できない」とも述べた。
船長の釈放時点で、不起訴処分は
決まっていたも同然だったのだ。
衝突時に海保が撮影したビデオ映像の公開を求める声に政府は、
初公判前の証拠公開を禁じた刑訴法を理由に拒み続けた。
事実上、捜査は終了していたこの事件で、もっと早く船長を不起訴としていれば、ビデオは非公開の根拠をなくしていたはずだ。
ずるずると処分保留のまま引き延ばしてきたことが、ビデオの流出事件を誘発した。
中国漁船の側に非があることを
明白に物語る映像は、
本来、とっくに公開されている
はずのものだった。
海上保安官の起訴猶予は、海保側の映像の管理が不十分だったことや、私利私欲の目的がなかったことなどが理由にあげられており、妥当な判断といえる。
対照的に、那覇地検の捜査をめぐっては那覇検察審査会に不起訴不当の審査開始が申し立てられ、「不起訴処分が存在しない」として却下された経緯もある。
逮捕、釈放、不起訴と進んだ事件処理に
政府の関与、干渉はなかったのかなど、
解明されるべき問題は多い。
検察審査会の場などで
捜査の検証を進めることも重要だ。
不起訴処分を事件の
幕切れにしてはならない。
尖閣事件不起訴
映像公開と捜査検証急げ
尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で検察当局は、
中国人船長と、衝突ビデオを流出させた神戸海上保安部の元海上保安官を
不起訴(起訴猶予)処分とした。
あまりに遅く、不自然な事件処理だ。
不起訴により刑事訴訟法の
「証拠」ではなくなった衝突ビデオは、
政府が自らの責任でその
すべてを公開すべきである。
最高検察庁は、船長の不起訴処分について、衝突された巡視船の損傷が航行に支障をきたすほど大きくはなく、人的被害もなかったことや、計画性が認められないことなどを理由にあげた。
那覇地検は昨年9月、船長を処分保留で釈放した際、「わが国国民への影響や今後の日中関係を考慮した」と、その理由を述べた。
検察が外交的背景を考慮して
政治判断を行ったことになる。
最高検は不起訴の理由に外交的配慮は含まれず、釈放時の那覇地検の判断は、あくまで身柄拘束を継続するか否かについてのものだったとした。一方で、「(船長を)釈放して事実上起訴することが困難になったことは否定できない」とも述べた。
船長の釈放時点で、不起訴処分は
決まっていたも同然だったのだ。
衝突時に海保が撮影したビデオ映像の公開を求める声に政府は、
初公判前の証拠公開を禁じた刑訴法を理由に拒み続けた。
事実上、捜査は終了していたこの事件で、もっと早く船長を不起訴としていれば、ビデオは非公開の根拠をなくしていたはずだ。
ずるずると処分保留のまま引き延ばしてきたことが、ビデオの流出事件を誘発した。
中国漁船の側に非があることを
明白に物語る映像は、
本来、とっくに公開されている
はずのものだった。
海上保安官の起訴猶予は、海保側の映像の管理が不十分だったことや、私利私欲の目的がなかったことなどが理由にあげられており、妥当な判断といえる。
対照的に、那覇地検の捜査をめぐっては那覇検察審査会に不起訴不当の審査開始が申し立てられ、「不起訴処分が存在しない」として却下された経緯もある。
逮捕、釈放、不起訴と進んだ事件処理に
政府の関与、干渉はなかったのかなど、
解明されるべき問題は多い。
検察審査会の場などで
捜査の検証を進めることも重要だ。
不起訴処分を事件の
幕切れにしてはならない。